研究会 運用技術 IoT

第14回インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS2021)でIoTシステムの双方向データフローにおける設計と実装の複雑さを解消する手法の提案を発表し、優秀論文賞および優秀プレゼンテーション賞を受賞しました

研究会 運用技術 IoT

こんにちは、ペパボ研究所の栗林です。人々からは「あんちぽ」と呼ばれております。GMOペパボ株式会社の取締役CTOを務めつつ、ペパボ研究所の所長と北陸先端科学技術大学院大学(JAIST)の博士前期課程に通う社会人学生をしています。

去る2021年11月25日、26日に開催された第14回インターネットと運用技術シンポジウム(IOTS 2021)にて「IoTシステムの双方向データフローにおける設計と実装の複雑さを解消する手法の提案」という発表をし、優秀論文賞と優秀プレゼンテーション賞をいただきました。簡単に内容を紹介します。

論文

発表資料

IoTシステムの双方向データフローにおける設計と実装の複雑さを解消する手法の提案

発表概要

デバイス層、エッジ層、クラウド層の3層構造をとるIoTシステムでは、システムの設計・実装が3層にまたがることにともなう構造的な複雑さが存在します。そのような複雑さをもたらす課題として、本研究では以下の3つを挙げます。

  1. プログラミング言語や通信プロトコルの選択肢が多様であること
  2. データの取得方式が多様かつデータフローが双方向性を持つこと
  3. IoTシステムの全体を通じたデータフローの見通しが悪くなること

それぞれの課題に対応する、以下3つの手法について提案しました。

  1. 3層を同一のプログラミング言語と通信プロトコルを用いて統合的に設計・実装できる手法
  2. push、pull、demand方式のいずれにも対応し使い分けられる基盤
  3. 3層からなるデータフローを一望のもとに把握できる記法

そして、提案のそれぞれに対して提案手法を用いて3層からなるIoTシステムを実際に統合的に設計・実装できること、提案手法を用いるとデータの取得方式のいずれにも容易に対応できること、提案する記法がデータフロー全体を十分に表現できることを評価することで,提案手法の有効性を示しました。

おわりに、今後に向けての課題と展望についても述べました。詳しくは上記のスライドをご覧ください。また、本研究の技術的詳細については、ElixirConf US 2021という技術カンファレンスで発表しました。そちらについては「ElixirConf US 2021登壇報告: IoTシステムの開発における課題の解決を目論むElixir製のフレームワークPratipadについて発表しました - ペパボテックブログ」をご覧ください。

受賞

採録された論文と本発表に対して、優秀論文賞および優秀プレゼンテーション賞をいただきました。ありがとうございます。

award-presentation

発表を終えて

2020年4月から博士前期課程に通う社会人学生として研究についても取り組んできたのですが、その途上は決して緩やかなものではありませんでした。今回、このようなご評価をいただけたのは、共著者の三宅さん力武先生を始めとするペパボ研究所の皆さん、また、指導教員の篠田先生を始めとする研究室の皆さん、および、今回の研究でメインの実装技術となったElixirコミュニティの皆さんのおかげだと思います。重ねて感謝いたします。


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