研究会 運用技術

情報処理学会第45回インターネットと運用技術研究会で発表をしました

研究会 運用技術

ペパボ研究所 研究員/プリンシパルエンジニアの三宅(@monochromegane)です。 2019年5月23日から2日間に渡って開催された、第45回インターネットと運用技術研究会(IOT45)で、ペパボ研究所から発表を行いましたので論文(研究会予稿)とスライドと共に紹介します。

利用者の文脈に応じて継続的に推薦手法の選択を最適化する推薦システム

ECサイトでは商品種類の増大に伴う情報過多問題を解決するため商品を自動的に提案する機能(推薦システム)が導入されます。 推薦システムは何らかの方策(推薦手法)に基づき利用者が興味を持つ商品を選定します。 そのため、ECサイトの運用者にとっては提案されている様々な推薦手法のうち効果的なものを選ぶことが重要になってきます。 しかしながら、推薦手法の有効性はその精度や応答速度、評価者のおかれている状況といった様々な要因によって変化します。 特に現在進行形で改修が行われているWebサービスでは、これらの要因を含む環境が継続的かつダイナミックに変化します。 このような環境においては、限定された条件での評価による比較ではなく、実環境に状況に基づいた比較を継続的に行うことが望ましいと考えられます。 一方で、取引規模の大きなECサイトでは評価時の機会損失も考慮する必要があります。 そのため、推薦手法の選択のためには、多くの推薦手法と要因の組み合わせに対する機会損失を抑えた継続的な評価が求められます。 そこで、提案手法では最善な推薦手法の選択を多腕バンディット問題とみなして解くことで、継続性と機会損失の課題の解決を図ります。 加えて、環境や要因の差異を文脈として考慮することで推薦手法の選択を全体として最適化を行います。 また、提案手法の実装のため実環境で評価結果を収集、判定、切替を行う推薦システムを構築しました。 評価では、実際のECサイトにおける推薦手法と文脈ごとのクリック率を用いて提案手法によって累積報酬額が向上することを確認しました。 今後は文脈ごとの初期学習速度の改善に加えて提案手法で有用な文脈と推薦手法の発見に取り組んでいきます。

研究会予稿

スライド

まとめ

インターネットと運用技術研究会では幅広い背景を持つ研究者が集まっていることから発表に向けて自身の暗黙の了解をあぶり出すとても良い機会であると考えています。 今回の発表ではECサイトの運用上の課題を明確化することができただけでなく評価指標の選定やパーソナライズを進めた場合における手法の発展性など有意義な議論を交わすことができました。

第45回インターネットと運用技術研究会(IOT45)では、幅広い研究テーマに沿ってペパボ研究所から発表を行いました。今後も、第46回インターネットと運用技術研究会(IOT46)が北海道で開催されますので、エンジニアの皆様もぜひご参加ください。


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