ペパ研

Human-Computer Interactionとなめらかなシステム

ペパ研

はじめに

はじめてのペパ研ブログです。よろしくお願いします。この記事はHuman-Computer Interaction (HCI) Advent Calendar 2021の4日目の記事です。 私は現在は博士後期課程に在籍してウェアラブルデバイスの研究開発を行っております。

修士では認知心理学に関する研究に興味を持ち、インターフェースの使いやすさを計測したり、音楽を聞いた時の主観的な評価を定量的に分析したりする研究を行っていました。 卒業後にGMOペパボ株式会社に入社して複数のWebサービス開発をした後、SUZURIというサービスのシニアエンジニアリングリードをやっております。

これから力を入れて取り組んでいきたい分野はHCI(Human-Computer Interaction)です。 私は元々ソフトウェア開発が専門ですが、技術的な制約にとらわれず、研究のコンセプトを立てるところから物理的なデバイス作れるところまでを通してできるようになりたいと思いました。 博士研究もファブリケーションが強い研究室を選びました。ハードウェア寄りの知識と経験を身に着けたほうが、技術や人間の身体的な制約にとらわれず、より自由にシステムを設計できると感じたからです。

HCIとはどんな分野か?

では、私が取り組んでいきたいHCIとはどんな分野なのか?簡単に紹介します。以下Wikipediaからの引用です。

ヒューマンコンピュータインタラクション(英語: human-computer interaction)とは、計算機技術の設計や利用方法について研究をし、特に人間(ユーザ)と計算機(群)とのインタフェースについて着目した学問領域、研究分野の1つである。略称はHCI。 この分野の研究者は、人間と計算機とが互いに情報の交換を行う際の身体行動や神経活動、計算工程等を観察し、両者の間の情報交換を実現する新しい方法を設計する。 こうした研究分野の特性上、学術分野として、計算機科学・行動科学・インダストリアルデザイン・認知科学・生命科学・建築学及びいくつかの研究分野の混じり合う地点に位置するといえる。故に、HCI分野の成果物は、これらの領域を横断したり、それらをかけ合わせたり、組み合わせた成果となることが一般的である。

出典: ヒューマンコンピュータインタラクション - Wikipedia

人間や機械のことを理解して研究を進めていくため、学際的な研究領域であることが分かります。マンガでわかるHCI (ヒューマン・コンピュータ・インタラクション) - はじめましたという記事にとてもわかり易く解説が載っています。記事の中でも書かれていますが、雑多すぎてなんの学会なのかわからないレベルで多くのテーマを扱う分野であることが分かります。興味ある方はぜひご一読ください。私は「人間と機械の関わりについて深く考えたい、人間のことをもっと理解してシステムを作りたい!」という人なので、HCIの分野はとても興味深く、これから力を入れて研究活動をしていきたいと思っています。

なめらかなシステムとHCI

ペパボ研究所では、「なめらかなシステム」というビジョンがあります。

コンピュータやインターネットに関する技術が発展したいまもなお、我々が日常的に触れるシステムは、様々な障壁に満ち溢れています。我々は、そのような障壁の取り除かれた未来のシステム、すなわち「なめらかなシステム」を目指しています。

利用者と情報システムの間の障壁を無くしていくということは、まさにHCIの研究を通じて実現していくべきことだと思っています。利用者それぞれに固有のコンテキストを見出したり、新たなコンテキストを創出するということは利用者や利用者が使う機械のことを理解して、システムを設計していくことです。私の場合は人の特性を理解し活用するために生体計測や心理学、解剖学などの分野を学び、情報工学・電子工学・機械工学・材料工学の知識と技術を持って、システムを構築して行くことでなめらかなシステムを目指していきたいと思います。

emg

こちらは研究で使うセンサーを作るために回路を組んで生体情報を計測している様子です。詳細は論文が公開されたら研究所のブログに解説記事を載せる予定です。

事業を差別化するために

海外ではいわゆるGAFAMをはじめとする、大手テック企業が研究所を持ち研究開発を進めています。日本国内でも企業研究所としてHCIに取り組む会社が増えてきたと思います。ペパボ研究所もこれから世界的にヤバい基準(社内ではSKYと呼んでいます)で成果を上げていくにはHCIに関する研究を今から進め、これからの事業に繋げて行く必要があると感じています。

最後に

これからプロフェッショナルな技術者・研究者として世の中にインパクトを与えられるような研究を行っていきたいと考えています。日本や世界のHCIコミュニティを盛り上げていけるように、自分はハードウェアとソフトウェアの両方から「なめらかなシステム」を構築して研究開発を続けていきます。HCIコミュニティの皆さんよろしくお願いいたします。


【PR】パートナー積極採用中!

ペパボ研究所では、新しいパートナーを求めています。詳細については、当研究所のトップページをご覧ください。