ペパボ研究所主席研究員の松本です。Twitter上ではまつもとりー(@matsumotory)と呼ばれています。2017年の9月13日に開催された、IEICEソサイエティ大会の「AIを活用したネットワーク運用技術」で「なめらかなシステムに向けた Webサービス基盤技術とAI技術の活用」というタイトルで登壇し、その後、大阪市立大学、NTT研究所、NEC研究所、KDDI総合研究所の方々とトークセッションをしてきました。
前半での「なめらかなシステムに向けた Webサービス基盤技術とAI技術の活用」という発表では、主にペパボ研究所のテーマである「なめらかなシステム」の概要と、それらをWebサービスに適用していく中で、AIを活用するアプローチとWebサービス基盤そのものを作り上げていくアプローチがあり、それぞれに関する研究の紹介を行いました。まだまだ、AIの活用というよりも、AIの中の機械学習やデータマイニングなどを利用してシステムを改善してくフェーズではありますが、その研究が既に実サービス上に導入されていることもあり、聴衆からは非常に興味深いという反応を頂けました。
特に皆さん気にされていたことは、AIやそれに付随する研究成果を実運用化することで、現場の人達がそれをちゃんと受け入れられるか、さらには、その研究そのものへの理解が難しくその仕組み自体に問題があったときに運用がまわらないのではないか、というところでした。そういう課題は実際にも導入の中であるので、ペパボ研究所ではちゃんと現場で運用する人達と一緒に、共著になるレベルで研究を勧めながら理解を共有すること、それが、導入受け入れの際の信頼にもなることを改めてお伝えしました。トークセッションでもそのあたりが話題になっており、一般的な課題になっていくだろうなと実感しました。
また、ペパボ研究所では導入後も、実運用上の評価を行って、導入前後で一見成功しているように見えてもどの程度成功しているかを評価する、ということに対して、企業の場合は成功していればそこまで評価しなくても良いように思うがなぜか?という質問を受けました。それについても、今後更に研究を発展させていくには現状分析が大切であること、現状分析を定量的に評価することが企業における研究開発の正当性を示す根拠になること、などを中心に解答しました。
総じて、所謂大企業の研究所のチームを率いている研究者や大学の情報センターをまとめている先生達とお話できる機会はなかなかなく、様々な視点や適用範囲において課題があることを共有できたこと、ペパボ研究所というまだまだ歴史の浅い研究開発組織の取り組みに興味を持って頂けたことは幸いでした。IEICEのこのセッションをまとめていただいたIEICEのICM研究会はインターネットや情報システムの運用技術を深く研究されている人ばかりで、是非機会があれば参加下さいとお誘いもいただけたので、今後もできるだけICM研究会に関わっていけると良いなと思いました。以下登壇資料になります。
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