国際会議 IoT

IEEE WFIoT 2023でWebAssemblyを用いた動的に更新可能なIoTアプリケーションとisomorphicなIoTシステムについて発表しました

国際会議 IoT

ペパボ研究所所長の栗林(あんちぽ)です。

2023年10月12日からポルトガルとのハイブリッドで開催されたIEEE WFIoT 2023において、Dynamic IoT Applications and Isomorphic IoT Systems Using WebAssemblyという標題で発表を行ってきました。

発表資料と共に内容を紹介します。

IEEE WFIoT 2023

IEEE WFIoTは、IEEEにおけるIoT領域の複数ソサエティが主導するIEEE IoT Technical Communityの国際会議です。

発表概要

IoTデバイスの適用領域が拡大していく中で、開発者は多様で急速に変わるユーザー要件に迅速に応じる必要が出てきています。そのため、IoTデバイスを迅速かつ頻繁に更新できる方法が要求されています。また、近年のクラウド/エッジコンピューティングの進展を考慮すると、複数の階層を通じて構成されるIoTシステムに適した形での、新しいアプローチが必要とされていると考えます。

本研究では、WebAssembly(Wasm)を活用して、動的に更新が可能なIoTデバイスの構築方法を提案します。提案方式では、IoTデバイス内のアプリケーションを実装するのに、メインのアプリケーションを実装するプログラム言語に加えてWasmランタイムを組み合わせて構成します。この組み合わせにより、デバイスの更新やメンテナンスが容易になることが期待されます。

さらに、本研究では、各システムの各レイヤーで共通のコードベースから構築される同一のWasmバイナリを使用したisomorphic(同型的)なIoTシステムの提案も行っています。IoTデバイスのみならずIoTシステムの全レイヤーを通じて、同一の技術ベースで開発できる手法です。具体例として、画像認識と分類のための機械学習モデルをWasmバイナリに変換する使用例を示しました。

提案手法の効果を検証するため、定量的な評価を実施しました。この評価から、提案手法がアプリケーションからWasm関数を呼び出す際のオーバーヘッドを導入するものの、その影響は限られていることが確認しました。さらに、広く使用される画像認識と分類のモデル、ResNet-50とMobileNetV2を用いて、提案手法の実際の性能を測定しました。これにより、提案手法が現行の環境で十分実用的であり、また将来の発展にも適していることを確認しました。

wfiot2023

発表資料

発表を終えて

ポルトガルに行ってみたい気持ちはあったのですが、色々と都合がつかずリモートでのオンライン発表をしてきました。アカデミックな国際会議での発表は初めてでしたが、オーガナイザーやモデレータによるホスピタリティあふれる運営によって、特に問題なく終えることができました。共著者の皆様、カンファレンスの運営をしてくださっている皆様、本当にありがとうございました。


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